早稲田大学図書館所蔵貴重資料

ジプシー・ヴォイス
小泉八雲筆/請求記号: FE10243
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ジプシー・ヴォイス

Gypsy voice: a poem in prose;manuscript written at Tokyo, conserved in an envelop used when he had been living in Kumamoto City, Kyusyu, Japan.
『怪談(KWAIDAN)』・『知られぬ日本の面影』など多数の著作で有名な小泉八雲=Lafcadio Hearn(1850-1904)の未発表草稿が本学の図書館にある。

内容から「Gypsy voice(ジプシー・ヴォイス)」と名付けられたその原稿は、八雲晩年の執筆と考えられ、熊本在住の際の住所が書かれた洋封筒に入れられており、そこには、彼の長男一雄によって「亡父小泉八雲ノ手蹟ニ相違無之事ヲ証ス」と記されている。

わずか二葉の用紙に八雲独特の丸い字体で書かれたこの草稿は、別作品「Beyond Man」の表紙の一葉と共に封筒に入れられていたこともあって、当初は「Beyond Man」の原稿の一部ではないかと思われていた。しかしその後の研究で、哲学的な評論である「Beyond Man」とは明らかに内容も文体も異なっており、現在では全く別の、彼自身の伝記的作品の一部ではないかと考えられている。

ほんの短い間ではあったが、彼は本学で教鞭をとっていた。1890(明治23)年来日した八雲は、その年は松江、翌年から熊本、94年から神戸、そして96年には東京へと居を移している。その間、英語教師から新聞記者、そして東京帝大英文学講師の職を転々としたが、最後に就いた仕事が本学の講師の職であった。1904年4月のことである。しかしその年の9月26日、狭心症に倒れ、帰らぬ人となったのである。

* このページは、早稲田大学学生部発行「早稲田ウィークリー」所収「早稲田の貴重書」に若干修正を加えたものです。
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First drafted Febrary 18, 1998
Last revised November 25, 2005